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民法改正!賃貸借契約にどう影響するのか?! 1

120年ぶりといわれる今回の民法改正案!「現代社会・経済への対応を図り、国民一般にわかりやすいものとする」という
目的の下、5年以上も検討が重なられた改正案は事務所、オフィスの賃貸借契約に、どのような影響があるのでしょうか?

民法改正案は賃貸借契約にどう影響するの?

民法改正の影響企業や消費者の契約ルールを定めるいわゆる債権法に関する民法改正案が国会で可決され、
平成29年6月2日法律44号 民法の一部を改正する法律が公布されました。

施行日は「公布の日から起算して3年以内の政令で定める日」ですので、
平成32年6月2日午前0時までに施行されることになります。

今回は、民法改正が賃貸借契約にどのように影響するのか?!

賃貸借に関連する部分の改正条文を抜粋してご紹介します。

    1)賃貸借したものは、ちゃんと返還しよう!

    現行

    第601条(賃貸借)

    賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

    改正

    第601条(賃貸借)

    賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに
    返還することを約することによって、その効力を生ずる。

    解説

    賃貸借契約が終了した際には当然ながら賃借人は賃貸人に対して賃貸借の目的物を返還する義務を負いますが、現行民法601条にはその旨の明示がありませんでした。

    改正により、賃貸借の冒頭規定においても賃借人に賃料支払義務だけでなく目的物返還義務があることも明示されました。

    借りたものは返そう

    2)賃貸借の期間は最大50年!

    現行

    第604条(賃貸借の存続期間)

    賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。

    2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。

    改正

    第604条(賃貸借の存続期間)

    賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。

    2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない。

    解説

    賃貸借の存続期間の最長が20年から50年に伸び、更新期間の最長も50年とされました。

    建物賃貸借では、既に借地借家法で賃貸借期間の上限は撤廃されているので、オフィス賃貸借では、従来通りですので影響はない部分となります。

    3)借りてるオフィスや部屋のオーナー変更!そのとき、どうなるの?

    現行

    第605条(不動産賃貸借の対抗力)

    不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。

    2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。

    改正

    六法全書第605条(不動産賃貸借の対抗力)

    不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者はその他の第三者に対抗することができる。

    第605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)

    前条、借地借家法(平成3年法律第90号)第10条又は第31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。

    2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。

    この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。

    3 第1項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。

    4 第1項又は第2項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第608条の規定による費用の償還に係る債務及び第608条の2第1項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

    第605条の3(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)

    不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第3項および第4項の規定を準用する。

    第605条の4(不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)

    不動産の賃借人は、第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。

    1 その不動産の占有を第3者が妨害しているとき その第3者に対する妨害の停止の請求

    2 その不動産を第3者が占有しているとき その第3者に対する返還の請求

    解説

    賃借人が物件の引き渡しや賃借権登記をした後に、不動産が譲渡された場合、原則として賃貸人の地位は不動産の譲渡人から譲受人に移転するというこれまでの判例が明文化されました。

    また、第605条の2、3、4が新設され、敷金返還債務、必要費及び有益費償還債務も譲受人に移転すること、賃借人の賃借権に基づいた第三者に対する妨害排除請求等することが明文で認められました。

    4)修繕するのは(できるのは)、オーナーだけなの?

    現行

    第606条(賃貸物の修繕等)

    賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。

    2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

    2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。

    改正

    第606条(賃貸人による修繕等)

    賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。

    ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

    2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

    改正(新設)

    第607条の2(賃借人による修繕)

    賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。

    1 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
    2 急迫の事情があるとき。

    解説

    賃貸人は賃借人に対し賃貸借の目的物を使用収益させる義務があります。(民法601条)。そこで、現行民法606条1項は、賃貸人は賃借人に対し、賃貸借の目的物を使用収益に必要な修繕を負う義務を定めています。

    改正では、賃借人に帰責事由がある場合には賃貸人は修繕義務を負わないとする規律を新設されました。

    現行民法には賃貸人が修繕義務を履行しない場合に、賃借人が自ら修繕をすることができるかどうか明文されていませんでした。

    しかし改正により、賃借人は自ら修繕をすることができるとの規律が新設されました。

    5)借りている物件の一部分が使えない!賃料を減額してよ!

    現行

    第611条(賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等)

    賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。

    2 前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

    改正

    第611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)

    賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

    2 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

    解説

    六法全書現行民法611条は、賃借物の一部が「滅失」した場合の借主の賃料減額請求権、残存する部分のみでは目的を達することができないときの解除権を定めています。

    もっとも、公平の観点から滅失が借主の「過失」による場合は減額請求ができません。(なお、無過失の立証責任は賃借人にあります。)

    改正では、現行条文の考え方は維持しつつ、賃借物の「滅失」に限定せず、一部使用・収益することができない場合(一部不能の場合)を含めて、賃料減額の対象とし、今までの通説に従って、賃料債務は一部滅失時から当然に減額されることが明文化されました。

    そして、公平の観点から賃借人に帰責事由がある場合は、賃借人は賃料減額を主張することはできないとされています。(文言が「過失」から「帰責事由」に改められています。)

    なお、一部滅失が賃借人の帰責事由によらないことの立証責任は賃貸借の目的物を手元におく賃借人に課されています。

    また、賃貸借の目的を達することができない場合の解除権については、現行民法611条2項を改正し、賃借人に帰責事由がある場合でも解除ができるとされています。

    6)転貸のルールは?

    現行

    第613条(転貸の効果)

    賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。

    2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。

    改正

    第613条(転貸の効果)

    賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。

    この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。

    2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。

    3 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。

    ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。

    解説

    疑問点転貸は、賃貸人の承諾を必要とするため一般的なオフィス賃貸では行われません。

    ただし、サブリースという形態で、不動産会社などが賃貸人の承諾のもと転貸することを前提に物件を賃借し、転貸人として入居者を募集することがあります。

    このサブリース契約の際に関係する条文となります。

    転貸借は、あくまで賃貸人と賃借人(転貸人)との間の賃貸借契約を基礎とすることから、転借人は、基礎となる賃貸借契約に基づく賃借人(転貸人)の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して直接に義務を負うことと改正条文では、明文されています。

    例えば、転貸借の賃料が基礎となる賃貸借の賃料よりも高い場合であっても、転借人は基礎となる賃貸借の賃料の範囲で、賃貸人に対し直接支払義務を負うことになります。

    現行条文をより明確にしたものです。また、賃貸人に対抗できない賃料の前払や転貸借の基礎となる賃貸借の合意解除による賃貸人の転借人に対する対抗要件について、今までの判例・通説が明文化されました。

    7)その他 賃貸借契約についての変更点

    改正(新設)

    第621条(賃借人の原状回復義務)

    賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。

    ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

    改正(新設)

    第4款 敷金 第622条の2

    賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。

    1 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
    2 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

    2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

    解説

    今回の改正により現行民法で明文化されておらず、判例やガイドライン等で積み上げられてきた法理が明文化されました。原状回復工事については、任意規定とされており、特約に有効性があります。

    オフィス賃貸借では、契約書の条文や原状回復工事要綱などにより、賃借人の原状回復工事負担について、詳細に特約されていることが一般的なため、改正により
    実務に変化が現れることは少ないと考えられます。

    ハマタロウのまとめ

    ハマタロウ今回は、民法改正における『賃貸借』に関する部分についてご紹介したっす!

    賃貸借契約に関係する改正として、保証契約に関する『個人根保証契約』部分がありまっす!

    賃貸借契約における連帯保証人に関して、実務的にも大きく変化する部分になるので、次回、詳しくご紹介しまっす!

    オフィス賃貸借については大きく実務的に影響はないと思われますが法律の施行までに時間があるので、
    施工に向けての期間に変化する部分が出てくるかも!

    注意深く、経過観察が必要っすね!

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